life.

蛮幽鬼

水曜日のソワレ。新橋演舞場。どきどきそわそわしたのは、会社を半日お休みしたことと、初めて足を踏み入れる劇場だったからだろうか。真四角の劇場、少し硬い椅子、ぶら下がった提燈、曖昧な笑顔の堺さん。初めて生でお目にかかる堺さんうっとり………、の予定だったのに殺陣になると、どうしても私の目は早乙女くんを追いかけていて、あれは、完全に役得だと思う。若いからキレもあるし、何よりも私はあの役が一番好きなんだな。悩みと矛盾を抱えた*1堺さんとは真反対の役。堺さんは気持ちがいいほどに迷いがない(ように見える)。人を殺めることでしか自分を存在させることが出来ない、本当は非道く可哀想な役なのだが、どうにも私は思いを寄せることが出来なかった。しょんぼり。でも一回しか観られなかったから、何度か観れば印象が違うのかも知れないけれど。
しかし、一緒に観た方は「堺さんはきらきら輝いていた」と。私もそう思う。舞台は堺さんの原点なんだろう。もっと観てみたい。

土曜日。久し振りの友人と新宿にて夕飯を食べる。思いも寄らない大病の告白に、非道く動揺した。元気な振りはしていたが、少し痩せていて、やっぱり滲み出る辛さは隠し切れていなくて。そんなことは絶対にないけれど、失うかもしれない微かな恐怖を、そう云えば、憶えている。今年二度目。失いたくないものは、しっかりと掌の中に収めておくようにってことなのか。

いやあ、私、テキストの書き方忘れてる。

*1:声にも湿度がある感じで、そこもいい。そして人が悩む姿は美しい、といつも思う。